【映画】【ココが見どころ】ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

映画

ジョナサン・サフラン・フォアによる同名小説をスティーブン・ダルドリー監督が映画化。脚本エリック・ロス。キャストにトム・ハンクス、サンドラ・ブロック、マックス・フォン・シドー、トーマス・ホーン。2011年公開作品(日本公開は2012年)。

あらすじ

ニューヨークで宝石商を営むトーマス(トム・ハンクス)。妻のリンダ(サンドラ・ブロック)との間に11歳になる息子オスカー(トーマス・ホーン)がいたが彼はアスペルガー症候群を抱えていた。

父トーマスはそんな息子オスカーにお題を出しそれを"調査探検"というゲームと名付けて、コミュニケーションが困難なオスカーを街に出して見知らぬ人と関わりを持たせるようにしていた。

そして3人の幸せな家庭にある日不幸が訪れる。

2001年のアメリカ同時多発テロ事件当日、トーマスはワールドトレードセンターに商談に行っており、ビル崩壊で帰らぬ人となってしまった。

大好きだった父を失い傷心のオスカー。

事件から1年後、オスカーは父の遺品の花瓶の中から小さな鍵を見つける。鍵の入った封筒にはBlack(ブラック)と書いてあった。オスカーは母に内緒で綿密に計画を立て、鍵の謎を解くためにニューヨーク中のブラックさん宅を訪問することにした。

見どころ

"愛を読む人"のスティーブン・ダルドリー監督。脚本は"フォレスト・ガンプ"のエリック・ロス。そしてキャストがトム・ハンクスサンドラ・ブロックヴィオラ・デイヴィスらオスカー俳優に加えて、マックス・フォン・シドージェフリー・ライト 名優たちが脇を固めます。プロデューサーのスコット・ルーディンは史上16人しかいないエミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞の4賞受賞者。

この↑メンバー! いい映画にならないはずがないんですよ。第84回アカデミー賞作品賞にもノミネートされています。

そんなキャスト・スタッフで子役のトーマス・ホーンだけはテレビのクイズ番組で優勝した少年で、この番組を見たこの映画のプロデューサーのスカウトをきっかけに出演した経緯で、演技は実ははじめてということ。これだけのスタッフと名優たちに囲まれて、オシッコも漏らさずによく堂々とあの演技ができたなと感心します。すごい!

鍵の持ち主ブラックさん探しの旅

アスペルガー症候群を持つ少年オスカーにとって、街の騒音はもちろん高い建物だって恐怖を感じることでした。そんな中で父の部屋で見つけた小さな鍵が父の残したメッセージだと信じ"調査探検"を完結させるべく探し続けていきます。

謎の鍵の持ち主ブラックさんを探しにニューヨーク中をめぐりますが、行き先となるブラックさんはニューヨークに472人いて訪れる住所は216ヶ所もある!

ニューヨーク市は、①マンハッタン、②ブルックリン、③クイーンズ、④ブロンクス、⑤スタテン・アイランドと5つの地区に分かれています。各地区に点在する年齢も人種も異なるブラックさんを訪ねていきますが、大都会ニューヨークにもこんな場所があって、そこに生活している人がいるんだとちょっと驚かされます。

間借り人の老人

オスカーの家のとなりのマンションには祖母(ゾーイ・コールドウェル)と間借り人の老人男性(マックス・フォン・シドー)が暮らしていました。この間借り人の男性と途中から一緒にブラックさん探しの旅を続けることにします。

オスカーが大好きだった父トーマスの肩をすくめるしぐさ、それと同じしぐさをするこの老人が祖父だとオスカーは気付きます。老人は発声障害で話すことができませんでしたが、紙に言葉を書いてコミュニケーションを取りながら旅を続けていきます。

この老人がオスカーの心の成長に重要な役割を担います。子供を育てることから逃避しオスカーの父トーマスのもとを去った人物ですが、戦争で両親を失い心に傷を負っていて父を亡くしたオスカーと共通点がありました。複雑な役柄ですがこの老人を演じたスウェーデン出身の俳優マックス・フォン・シドー、すごくよかったですね!

マックス・フォン・シドーは2020年に90歳で亡くなっています。1950年代から映画に出演し、1973年にあのエクソシストの神父さんを演じた名優です。

見守る母リンダ、サンドラ・ブロック

父を亡くしたショックから立ち直れないオスカーは母と衝突します。母リンダは自身も愛する夫を亡くした辛さに耐え、苦しみながらも息子オスカーに愛情を注ぎ続け、オスカーの"調査探検"を影で支えます。この母リンダを演じるのはサンドラ・ブロック!ラストシーンには泣かされました。。

出会う人々(ブラックさん達)

オスカーはニューヨーク中のブラックさん宅を巡り歩き、さまざまな環境で生活する人々と出会います。

9・11がニューヨークの人々にどれだけ苦痛を与えていたのか、街で出会うブラックさんたちによって描き出されます。そして残された家族が人々との交流を通じてなんとか一歩ずつ前に進んでいく。その様子に胸を打たれます。

スティーブン・ダルドリー監督の演出のせいなのか、それともそもそも役者が上手いのか、とにかく人間が好きになる映画です。

まとめ

日本で暮らす我々にとって、ニューヨーク同時多発テロ事件というのは衝撃的な出来事だったとはいえ、やはり遠くの国で起きた出来事。実感は薄いんじゃないかと思います。

事件は2001年のことですが、この映画を見ると改めてこの事件がニューヨークの人々の心にいかに大きな傷を負わせていたかを知るきっかけになり、そして主人公のオスカーを通じてテロの被害にあった人々が支え合って生きる姿に心が震えます。

ところで主人公オスカーを演じた子役のトーマス・ホーン。この映画の後、数本の作品に出演したようですが、現在彼はどこで何しているんでしょうかね。。。

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