ヴァイブレータ(2004年)の廣木隆一監督、脚本荒井晴彦、主演寺島しのぶトリオの2006年公開作品。キャストには豊川悦司、松岡俊介、妻夫木聡、田口トモロヲら。ヴァイブレータで寺島しのぶと共演した大森南朋も真面目な同級生役で出演。芥川賞作家絲山秋子のデビュー作「イッツ・オンリー・トーク」が原作。
あらすじ
東京蒲田で暮らす35歳独身女性 橘優子(寺島しのぶ)。両親と親友を失ったことで躁うつ病になり築いてきたキャリアまで失った彼女にとって飾らないこの街は居心地がよかった。
そこで出会う問題を抱えた男たちとの出会いを通じて、少しづつ気持ちが楽になっていく。
見どころ
主人公 橘優子の従兄弟 橘祥一を豊川悦司が演じている。そうトヨエツ!
カラオケで尾崎
福岡の田舎街で暮れしている祥一は、アメ車フォードフェアレーン500 に乗っている。カーステレオから流すのは尾崎豊。父親からは”バカ殿”と呼ばれている。
ある日優子が暮らす蒲田にふらっと現れ、優子と行ったカラオケで尾崎豊の名曲ダンスホールを歌う。普通の男がこれをやったら残念ながら間違いなく失敗するパターン。カッコよく歌える男なんてほぼいないと思う。
🎶安いダンスホールは たくさんの人だかり 陽気な色と音楽と タバコの煙にまかれてた🎶
もちろん名曲なのだけれども。。
とはいえ、少しはにかみながら歌う このふたりのカラオケシーンがすごくイイ!原作は読んでいないので荒井晴彦によって加えられたシーンなのかはわかないけど これはよかった!2023年公開の「花腐し」でもカラオケシーンが登場するがこれがまた印象的ですごくよかったっす。
ダメ男に見えない豊川悦司
縁日に行って「金魚を8匹も取ったので子供に6匹やった。」と優子に言って2匹の金魚を持って帰る祥一。実はペットショップで買っていた。競馬に金を注ぎ込みすぎてコインパークングの駐車料金も払えないほどの金欠。結婚して6歳になる娘がいるけど別居中。このダメ男 祥一を豊川悦司(トヨエツ)が演じている。
しかしまったくダメ男に見えない。だってトヨエツなんだから。明らかに一般人と違う風貌 カッコ良すぎるんだから。そう、それが豊川悦司。最高!
寺島しのぶ✖️豊川悦司
豊川悦司は最近Netflixのドラマ「地面師たち」で地面師のリーダー ハリソン山中を演じているが、本作は15年以上前の作品だけあって、寺島しのぶとの若さ溢れる共演が見どころ。
本作は2006年公開。二人の共演は翌年の2007年公開の「愛の流刑地」(あいるけ)が有名だが2作品で全く違う二人の演技が堪能できるので比較して観てみるとまた面白いと思う。あいるけの清楚で大胆な寺島しのぶも最高だったなー。
おまけ
この作品を観終わっていろいろと調べているうちに、日本シナリオ作家協会が発行する「年鑑代表シナリオ集」に本作の脚本を収録することが決まったが、原作者絲山秋子が掲載を拒否し出版できなくなったことで裁判になったという事実(原作者が勝訴)を知った。
個人的にはこの映画の評価を下げる理由にはならないと思っている。
とはいえ、こういった揉めごとは昔からある根の深い問題。
原作者とそれを使う側どちらにもこだわりと情熱があるから単に契約がどうなっているかだけじゃなくて、信頼関係が構築されてないと納得できる結論に至るのはめちゃくちゃ難しいと思う!
以上です。最後までご覧いただきありがとうございました!
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