ドイツの小説家ベルンハルト・シュリンクの小説"朗読者"をイギリス人監督スティーブン・ダルドリーが映画化。2008年公開作品(日本公開は翌2009年)。キャストはケイト・ウィンスレット、デヴィッド・クロス、レイフ・ハインズ。
あらすじ
舞台は1958年のドイツ。
15歳の青年マイケル(デヴィッド・クロス)はある大雨の日、下校途中に気分が悪くなり軒下で休んでいると そこに通りかかったハンナ(ケイト・ウィンスレット)に介抱してもらう。ハンナはマイケルより21歳も年上の女性だったが、後日お礼のためにハンナの家を訪れたマイケルはハンナと関係を持つ。そこからふたりは恋に落ち、マイケルはハンナの家に入り浸り。ハンナはマイケルに本の朗読を頼むようになり、二人は愛を深めていった。そんなある日、ハンナは突然マイケルの前から姿を消してしまう。
そして数年後、法学専攻の大学生になったマイケル(デヴィッド・クロス)は、ナチス戦犯の裁判を傍聴するために出向いた法廷で被告人席に座るハンナと再会するのでした。
見どころ
ハンナの人生を描いた秀逸な原作、せつない。
ドイツの小説家ベルンハルト・シュリンクの小説"朗読者"。この映画の原作がすごくイイんですよね。
序盤はとにかくマイケルとハンナの熱愛が描かれます!
1958年のドイツが舞台。15歳の青年と36歳の女性、21歳も年上という設定からしてまず興味を引きます。なにせマイケルは15歳ですから。その歳の少年の前にひとり暮らしの成熟した女性が現れたらどうなるのか。
やさしく介抱してくれた年上女性のアパートを訪れる。そしてコトにおよぶ!少年時代にこんな羨ましい経験はなかなかめぐり会えません!
当然ながら、その後マイケルは毎日のように、胸(あと股間も、キャー(⁎˃ ꇴ ˂⁎)ッ)を膨らませ、放課後自転車を漕いで彼女の家に通い詰めます。
会うと必ず本の朗読、そして体の関係を交わし情熱的に愛し合う二人。ハンナはマイケルに名著の数々を朗読してもらいます。ギリシャの古典文学"オデュッセイア"に始まり、ロシアの恋愛小説"犬を連れた奥さん"などなど。
しかしそんな中、
ハンナは市鉄の乗務員をしていて、真面目な彼女の働きっぷりを見た上司から事務職への昇進を告げられます。普通なら「ありがとうございます!これからもがんばります」となるところですが、どういうわけかハンナはそれをきっかけに仕事を辞め住んでいたアパートを引き払い、マイケルの前から姿を消してしまいます。
アパートを訪れたマイケルは呆然と立ち尽くします(勃ち尽くしていた股間もしょんぼり。。もうイイか(^▽^;))。
そしてその後、衝撃的な再会が待ち受ける。
再会は4年ほど経ってからのことです。マイケルは法学部の大学生になっていました。そして再会する場所はなんと裁判所。マイケルは大学の講義の一環として傍聴席に座る。一方のハンナはナチス戦犯として被告人席に座っていた!
裁判が始まると同じく被告人として呼ばれていた複数の女性看守から、勤務していた強制収容所からアウシュビッツに送ったのはハンナの指示で、証拠として残されている報告書もハンナが書いたものだと証言される。裁判官は筆跡鑑定のためハンナに署名するよう求めるが、ハンナはそれを拒み報告書は自分が書いたと罪を認めてしまう。
その結果、裁判官が下した判決はなんと殺人罪!刑期は無期懲役! えっ!このまさかの展開。
ネタバレにならないように書くのが難しいですが、このお話は社会的弱者がどのように社会の波に飲まれて翻弄されていのか、その様子がとにかくよく描かれています。
ハンデキャップを抱えた女性がひとりで生きていくために選べる仕事など現代のように多くはなく、そして選んだ仕事(強制収容所の看守)の先にどのような結末が待ち受けているかなど彼女は知る術もなかった。
看守の仕事にしても彼女は上官の命令で行っただけのこと。無罪を主張してもよかったのにそれができないハンナ。あぁーー、せつない。
第二次世界大戦が終戦を迎えたのは1945年のことですが、その後数10年にわたってナチス戦犯の裁判が行われ、それは1970年代まで続きハンナのように裁判にかけられた人々が山のようにいたようです。
この後のストーリーはさらにせつない展開が待っています。涙、涙。。。°(´ฅωฅ`)°。
もちろん役者陣も
若きマイケル役にデヴィッド・クロス、ハンナ役はこの映画で第81回アカデミー賞でアカデミー主演演女優賞獲得したケイト・ウインスレット。特にこの二人がよかった。壮年期のマイケルは名優レイフ・ファインズが演じています。
まとめ
ナチスドイツ時代 世の中の波に飲まれ、その後犯罪者として生きることになるひとりの女性、そしてその女性に恋をした少年、ふたりの人生を描いたなんともせつない作品。驚きのストーリー展開に涙無くしては観ることができません。
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