イギリス人監督エドガー・ライト、主演サイモン・ペッグ、ニック・フロストが組んだゾンビコメディー。2004年製作、日本公開は2019年。
2007年の"ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』、2013年の"ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!"とともにエドガー・ライト監督、エドガー・ライト、サイモン・ペッグ脚本、ナイラ・パーク製作のスリー・フレーバー・コルネット(※)3部作の1作目の作品。
※コルネットはイギリス版ジャイアントコーン的なアイスクリームの名称だそうです。
あらすじ
舞台は現代のロンドン。ショーン(サイモン・ペッグ)とエド(ニック・フロスト)はパブで毎日ビールを飲みダラダラと過ごしています。ある日そんな彼に愛想を尽かしてショーンは彼女に振られてしまいます。ショックを受けたショーンですが、翌日目を覚ますと街にはゾンビが蔓延。異常事態に気付いた彼は、エドとともに母と 別れた彼女を助けに向かいます。
見どころ
ジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」(1979年公開)へのオマージュということですが、この映画はホラー的な要素もありながらコメディー映画です。イギリス公開時は"ROM ZOM COM"というコピーで紹介されたそうです。(ROM=ロマンス、ZOM=ゾンビ、COM=コメディ)
仲良しの二人!
ショーン(サイモン・ペッグ)とエド(ニック・フロスト)は二人ともダメ男です。無気力にダラダラと過ごし、ホントにくだらないジョークを言い合って、パブで豚の皮チップスをつまみにビールを飲む毎日。
それが原因でショーンは彼女に振られてしまうんですが。。。
このショーン/エド 二人の掛け合い、幼馴染からくるこの仲良し過ぎる感じ。「友情」という言葉はこの映画にはしっくりこないですが二人の感じがとてもイイんです。
二人が最初にゾンビと遭遇するシーン。スーパーの女性店員メアリーがゾンビになって自宅の庭に背を向けて立っているんですが、初めはまだゾンビだと気づかない二人。ヘイ!と声をかけ、ゆっくりと振り返った瞬間、普通のゾンビ映画ならここで異常に気付き「オーマイガッ!」となるところですが、
二人は「この女ベロベロじゃねぇか!」と泥酔した女が庭に入ってきたんだと勘違いします。そしてゾンビのメアリーにショーンが襲われますが、エドは部屋に戻り"写ルンです"(インスタントカメラ)を持ってきて記念に写真を撮ります!この状況で思い出を写真に収めておこうというこの感じ。最高です。
しかし、この二人のダメ男 ショーンとエド、
ゾンビが街にウヨウヨと蔓延し人々が次々に犠牲になる中、この二人には危機感がほぼ無く 焦らないんです。人々が必死で逃げ惑う中、ゾンビになりきってゾンビの群れに飛び込むという奇策に出る!
そしてショーンはヒーロー的な行動に出ます。
なんとかたどり着いたパブ ウィンチェスターのドアに鍵がかかっていて中に入ることができない。周囲はゾンビに囲まれ絶対絶命となった状況。そこで自分が囮となってゾンビを誘き寄せてみんなを店に入れるんです。まさにヒーローの行動!自分が犠牲になる覚悟のアルマゲドンのハリー的な行動(言い過ぎか)です。。そしてあとからさりげなく裏口から店に入り帰還する。ショ、ショーン、どうした。ちょっと素敵!となります。
危機的な状況の中におかれた後も とにかくショーンとエドの掛け合いが最高です。サイモン・ペッグとエドガー・ライトの共作脚本、イイです!
あ、個人的にショーンの義父フィリップを演じたビル・ナイ 好きでした。フィリップはうるさい音楽が大嫌い。ゾンビ化してしまった彼が大音量のパンクミュージックを嫌がるシーン、最高でした。ゾンビになってもやっぱりイヤだったんですね!
この映画では、フィリップ以外にも登場人物たちがゾンビになったあとで人間だった時の行動を引きずっているのが小ネタ的に使われていてイイんです。
ビル・ナイはアバウト・タイム〜愛おしい時間について〜(2014年公開)の主人公の父親役もすごく良かったですがこの映画の義父役も良かった。(アバウト・タイムの感想は→こちら)
やっぱり音楽!
ベイビー・ドライバー(2017年)の監督エドガー・ライトの作品だけあって音楽ネタがイイんです。(ベイビー・ドライバーの感想は→こちら)
初めてゾンビと戦うシーンでとっさに投げたレコードが顔に刺さったのを見て、これは武器に使えるということで箱に入ったレコードコレクションの中から投げてもいいレコードを選んでいきます。
パープル・レイン →投げちゃダメ、サイン・オブ・ザ・タイムス → 絶対ダメ
バットマン サウンドトラック → 投げろ! (笑)
ご存じ3枚ともプリンスの大ヒットアルバムですが、最高ですね。 ちなみにバットマン サウンドトラックは ブックオフで300円で売っていました。
ほかにもクイーンの楽曲がゾンビ化したパブのオーナーと戦うシーンで使われていますが、この緊迫感のない戦闘シーンと"ドント・ストップ・ミー・ナウ"がシンクロするのがイイですね。
イギリス人=パブ愛!
自宅でゾンビから逃れる計画を立てるショーンとエド。エドから①慣れてる場所、②出口を知っている、③タバコが吸えるところが条件だと提案される。
そして最終的な目的地として行きつけのパブ "ウィンチェスター"に向かうという計画を立てる。
このパブは毎晩ショーンとエドが通う行きつけの店。しかしショーンが彼女リズ(ケイト・アシュフィールド)との別れの原因となった場所でもある。
別れを告げられた原因は、
この店にショーンとエドとリズに加えて友人2人を含めた5人が集まって閉店まで飲むという変わり映えしない毎日。この日々に嫌気が刺したリズに二人の時間を持ちたいと切り出される。そしてショーンは別の店で二人きりでデートをするという約束をするが、完全に忘れていてあわててデート直前に店の予約をしようとするが時すでに遅し。そんなショーンに愛想を尽かされ彼女に別れを告げられたのでした。。
その店、パブ"ウィンチェスター"を目的地にしてゾンビから逃れたらそこでみんなでビールを飲むという計画。。。これは完璧な計画だと。
どんだけパブ 好きやねん!っていう話です。そもそもイギリス人はこのパブという場所で昼から酒を飲み、また仕事に戻るってのをやっているらしくパブは完全に生活の一部。とにかくパブが大好きで行きたくで仕方がないようです。イギリス人のパブ愛!
まとめ
しっかりゾンビのホラー要素もありながら笑えるシーン満載、さらに人間ドラマも恋愛も描かれたコメディーゾンビ映画の傑作。この映画のゾンビは動きが遅いので、走ってくるゾンビが怖すぎてイヤという方には是非おすすめです!
コメント