スペイン語映画ながら第79回アカデミー賞で撮影賞、美術賞、メイクアップ賞の3部門を獲得したダークファンタジ-の傑作。キャスト:イバナ・バケロ、アリアドナ・ヒル、セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ。
改めて2007年日本公開のこの作品を観て感じた この映画の見どころを書こうと思います。
言わずと知れた第90回アカデミー賞でオスカー受賞監督ギレルモ・デル・トロの作品です。
あらすじ
舞台は1944年のスペイン。フランコ将軍によって3年近く続いた内戦は1939年に終了していたが、その後もファシスト政権に対し、反ファシストのゲリラたちが山にこもり戦いが続いていた。
主人公のオフェリア(イバナ・バケロ)は戦争で父を亡くし、母カルメン(アリアドナ・ヒル)は生活のためファシスト政権側の軍人であるビダル大尉(セルジ・ロペス)と再婚。そして母はお腹に大尉の子を宿していたが、戦場となっている山奥の拠点で暮らすことになる。
戦場で生活することになったオフェリアはビダル大尉から逃れるように おとぎ話の世界に入り込むようになる。
見どころ
デル・トロ監督のダークな世界観に浸る
デル・トロ監督が描くダークファンタジーの世界にどっぷりハマってしまう作品です。
1944年のスペインが舞台の映画ですが、スペイン内戦という悲惨な状況を結構グロく描き、対するファンタジーの世界 そこは光と闇が同居していて 決して光り輝く世界としては描かれていません。
デル・トロ監督が描くのはキラキラしたファンタジー世界ではなく、むしろダークで怪しげで不穏なものとして描かれます。登場するキャラクターはちょっと不気味、いや相当不気味です。
初めに登場するナナフシだって普通の少女だったら近寄らないか逃げるはずです。あんなにデカいナナフシはそういませんからね。北海道産のアスパラくらいあります。しかしオフェリアは全く気にしていません。それどころかその巨大ナナフシを追いかけて手で捕まえようとします。ちなみにそのナナフシはチキチキチキチキと鳴きます。
そして、続いて登場する牧神パン。タイトルにもなっている"パンの迷宮"のパンです。
牧神という神様とはいえ、あの見た目!突然現れたらおじさんでも「キャッ!」って言ってしまうくらいの見た目です。オフェリアのように冷静でいることなんかできるはずありません。。
そして大きなカエル。
このカエル、ダイハツ"ミライース"(軽自動車)くらいあります。いや、カエルの見た目よりも魔法の石を食べた後にカエルが吐き出す自らの内側。あれが相当グロい!だって巨大なダンゴムシを食べているわけですから。。。食べたダンゴムシもカエルの内側と一緒に出てきてますから。。。普通ならつられて自分も吐いてしまうところです。しかしオフェリアはその中からしっかり鍵を見つけて拾う冷静さ。
有名なペールマンは言うまでもありませんので語りませんが。あの恐怖たるや。。。
不気味でしかないように書いていますが、このダークで統一された色彩で描かれた世界は圧巻で本当に存在している世界に思えてきます。そして素晴らしく美しい。
もの悲しい子守唄
オフェリアにせがまれてメルセデス(マリベル・ベルドゥ)が鼻歌で歌う子守唄があるんですが、これがすごくもの悲しい。
トゥルルルルルルーーーー ♪、トゥルルルルルルーーーー♪。
なんでしょうか、このもの悲しい子守唄。じぃぃぃぃぃ〜んとくる。エンディングでも登場するこの子守唄。この映画の雰囲気を作り、さらに反戦というメッセージを伝えてくれている気がします。
内戦で同じ国の人間が争うという目を背けたくなる、しかし逃れられない現実。その世界で生きる人々、そして主人公の少女オフェリア。
少女にとっては耐え難く受け入れられない現実よりも、おとぎ話の世界で暮らした方が幸せだったんだ。それが死によって実現するという残酷で悲しい物語。
トゥルルルルルルーーーー ♪、トゥルルルルルルーーーー♪。
まとめ
ギレルモ・デル・トロ監督のダークで美しいファンタジーの傑作。戦争の残酷さとグロいシーンもあるので万人向けではないですが、私は完全にハマりました。
そして早く、ウクライナからロシア軍が撤退してくれることを祈ります。
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