フランスの鬼才カンタン・デピュー監督・脚本・撮影・編集のコメディー映画。2020年公開。でかいハエに遭遇した二人の男の話。
あらすじ
主人公のさえない男マヌ(グレゴワール・ルディッグ)は知人レイモンドから500ユーロ(8万円くらい)で仕事を引き受ける。その仕事は、ある男から預ったカバンを車のトランクに入れて運び 別の人物に届けるというもの。マヌは友人のジャン・ギャブ(ダヴィ・マルセ)を誘い、盗んだベンツで走り出す。
するとトランクから"ブーーーーン"という異音が。クルマを停めてトランクを開けてみると そこにはなんと巨大なハエが!
キャスト
【役名(役柄)】 | 【キャスト】 |
---|---|
マヌ(さえない主人公) | グレゴワール・ルディッグ |
ジャン・ギャブ(マヌの友人) | ダヴィ・マルセ |
レイモンド(マヌに仕事を依頼する男) | ラファエル・ケナール |
ジル(キャンピングカーで暮らす男) | ブルーノ・ロシェ |
セシル(マヌを同級生と勘違いし自宅に招待する女) | インディア・エール |
アニエス(スキー事故で障害を負ったセシルの友人) | アデル・エグザルコプロス |
サンドリーヌ(セシルの友人) | コラリエ・ルシア |
ミシェル=ミシェル(カバンの持ち主) | フィリップ・デュソー |
フレッド・ブルトン(セシルの同級生) | グレゴワール・ルディッグ(2役) |
見どころ
なんの話だよ!
DJミスター・オワゾ(Mr.Oizo)の名でミュージシャンとしてもミリオンセラーを叩き出し、映画の世界ではフランスのスパイク・ジョーンズの異名をとる男だけあって本作の脚本を書いたカンタン・デピューというフランス人の発想が凄すぎる。
そもそもカバンを届ける仕事を500ユーロで引き受けるところから始まるんだけど、道中で巨大なハエと遭遇してからはハエ中心の話に変わり、仕事の話は途中からどこかにいってしまう。
主人公のマヌと友人ジャン・ギャブはこの巨大なハエで一儲けしようと自分の食事もそっちのけで餌を与えて調教を始める。このハエを調教して銀行からカネを奪って来させれればいいんだ。俺たちはただ家で待っているだけで大金持ちさ。こいつはドローンみたいなもんだ、と。
そしてこの巨大なハエにドミニクと名付け熱心に調教していく。
なんの話だよ!!という映画なんだけど、この予想がつかない展開は唯一無二。
おとぎ話だよ!
そしてなんと!言うことを聞かせようとドミニクに餌を与えていくと、本当に言うことを聞き始める!前進!後退!指示通りに動き始める!
映画でハエといえば、昔デヴィッド・クローネンバーグ監督のザ・フライ(1986年)という映画があったが、その映画はジェフ・ゴールドブラム演じる主人公の科学者が物質転送の実験をする実験中、転送マシンに1匹のハエが入り込んだことでヒドい目に遭うという話だった。やはりハエといえば鬱陶しい存在だよ。普通は。
しかしこの映画は違う。ドミニクという名前まで付け、この米俵ほどある どデカいハエをめちゃくちゃ大切にし可愛いがる。普段虐げらているハエを愛でていきハッピーエンドを迎えるストーリーになっている(邪な理由からではあるけども)。
そして気づいた。
この映画は現代のおとぎ話なんだ!と。
だからしっかり語り継いでいかないと!
メインテーマ曲が最高!
この映画のメインテーマ曲「マンディブルス(メインテーマ)」。
マルチ楽器奏者でプロデューサーのジョセフ・マウントが中心となって作ったイギリスのバンド メトロノミーが演奏していて 歌はなくメロディーだけのほのぼのとした感じで始まるこのテーマ曲。
これが映画の冒頭から流れこの曲で完全にハートを掴まれてしまった。そしてこの曲が映画全体の雰囲気にピタリとハマっている!
まとめ
フランス発のインディーズコメディ映画ってなかなか観る機会がなかったがこんな作品に出会えて嬉しい限り!完全にハマってしまった!
あと忘れてならないカンヌ国際映画祭パルムドール女優アデル・エグザルコプロス(アデル、ブルーは熱い色)もスキー事故で障害を負って大声でしか喋れない女という特殊な役を好演している!
以上です。最後までご覧いただきありがとうございました!
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