ブロードウェイで大ヒットしたミュージカルの映画化作品。監督は あの「ワンダー 君は太陽」や「ウォールフラワー」のスティーブン・チョボスキー!脚本はミュージカルと同じくスティーブン・レヴィンソン。キャストはベン・プラット、ケイトリン・デヴァー、コルトン・ライアン、ニック・ドダニ、エイミー・アダムス、ジュリアン・ムーア。2021年公開。
あらすじ
主人公の高校生エヴァン・ハンセン(ベン・プラット)は左腕を骨折してギプスをしていた。学校生活によくあるクラスメイトからの寄せ書きも無い白いままのギプス。そんな彼に見かねた母はメッセージでも書いてもらったらとサインペンを渡していた。
唯一の友人ジャレッド(ニック・ドダニ)にサインを頼んだが、おまえは家族の友人だとあっさり断られてしまう。
同じクラスにはエヴァンと同じく学校に馴染めていないコナー・マーフィー(コルトン・ライアン)がいた。コナーは精神的に不安定で、抑えきれない感情を周囲に暴言や暴力でぶつけていたが、そのコナーはエヴァンが恋心を抱くゾーイ(ケイトリン・デヴァー)の兄だった。そして、エヴァンもまた社交不安障害を抱えていて、セラピーの担当医師から「毎日どんないいことが起こるか自分宛に手紙を書いてみなさい」と アドバイスされていた。
ある日、エヴァンは医師のアドバイスに従い学校のパソコンルームで自分宛に手紙を書いた。"ディア・エヴァン・ハンセン"と冒頭に記した自分宛の手紙。その手紙にエヴァンは思いを寄せるコナーの妹ゾーイのことを書いていた。
そのとき、パソコンルームの向かいの席に座っていたコナーが、エヴァンの真っ白なギプスを見て「俺がギプスにサインしてやるよ」と声をかけた。エヴァンはとっさに断るが、コナーは「友だちのフリだ」と言ってギプスに強引にサインをした。そしてコナーはエヴァンが自分宛に書いた手紙を発見!コナーは手紙を読み自分の妹ゾーイに関する一文を見つけ、「俺にこの手紙を読ませ、妹のことでキレさせてクレイジーなやつだと周りに思わせたかったのか!」と誰も予測できないスイッチが入る。すぐさまエヴァンは否定して手紙を返してくれと懇願したが、スイッチが入ったコナーに突き飛ばされその手紙を持ち去られてしまう。
手紙を持ち去られたエヴァン。
自分の手紙がコナーにSNSで公開されてやしないかヒヤヒヤしながら過ごしていた矢先、あろうことか手紙を持ち去ったコナーの自殺が発覚。コナーのポケットから出てきたのは"ディア・エヴァン・ハンセン"と綴られた手紙!
事件発覚後、エヴァンはコナーの両親に呼び出され、手紙("ディア・エヴァン・ハンセン〜")を読んだコナーの母親から、「親友だったんでしょ、コナーの話を聞かせて。」と頼まれ。。。とっさにエヴァンは彼と親友だったと嘘をついてしまう。
そこから話は予期せぬ方向に進んでいく。。。
見どころ
とにかく、話の始まり方が面白い。自殺したクラスメイトのポケットから出てきたのは自分に宛てた手紙、"ディア・エヴァン・ハンセン、、"。
主人公がコミュ障というのは昔からよくありますが、現代劇のミュージカルであつかう内容が社交不安障害、自殺、嘘、そこにSNSが絡んでくる。それを歌に乗せて進んでいくのでテンポも良いので飽きさせない。もともとブロードウェイで大ヒットしたミュージカルの映画化作品ですが映画としても素晴らしかった👍。
感想ですが、SNSとともに生きる現代の高校生ってこんなに大変なのか!と思いました。SNSがあることで周囲からの評価がフォロワー数と"イイね"の数で決まってくる(まぁ今さら言うことでもないですが)。さらに投稿した内容はあっという間に広がっていって一度投稿したらもう最後、削除しても拡散されて止めることができない。
「そうさ噂は光の速さより速いよ、一夜明けたら誰でもヒーロー」
そう、沖田浩之(愛称:ヒロくん)が歌っていたっけ。一夜明けたらヒーローにも悪者にもなってしまうんだ。ってことは噂が広がる速さはSNSで始まったことでもないってことか。。。
ヒロくんのヒット曲(E気持ち)は置いておいて、もう一つ、この映画の舞台アメリカの高校が校内の社会貢献的な活動が活発過ぎというか、なにかをサポートするために寄付を集めまーす的なことにすごく積極的。日本の高校にもあるんでしょうかね?こういう感じ。私が高校時代を過ごした1980年代には皆無でしたよ。それとも興味がなかったから気づかなかっただけなんでしょうか?いやいやいやナイナイナイ。こういう社会貢献活動シーンを観るたびにカルチャーショックを受けます。
学生が社会貢献活動をリーダーシップを持って進め、そんな活動を通じてみんなと繋がりを持ちつつSNSの反応を気にしながら高校生活を送っていくなんて、辛いよ辛いよー。
社交不安障害、自殺の両方にささっている"孤独"というテーマの描き方がとってもアメリカ的だなーと感じました。SNSにしても実名、顔出しが当たり前でそもそもオープンというか、社会との接点を持っていないと許されない感じが見て取れて、それがとてもアメリカらしかった。
ベン・プラットの歌唱力
この映画で初めて知りましたが主人公のエヴァン・ハンセンを演じたのはミュージカルでも主役を務めたベン・プラットという俳優です。すごく地味な見た目のユダヤ人俳優なんですが、ちょっとリック・モラニスにも似た見た目。役もあるとは思いますがとにかく見た目が地味すぎて全く歌が上手そうに見えないので、えっ!歌うの?とちょっとビックリします。
コミュ障の高校生という役なのでその地味な見た目はとてもハマっていてリアリティがある一方で、地味すぎて歌のうまさとのギャップがすごいこと。。主人公なんだから歌が上手いってのはわかっていても、いざ歌い出すとその見た目のギャップと歌唱力で圧倒されます。えっ!?ちょっと待って、あ・・・、へぇぇぇーーーー、となります。
二人の母、エイミー・アダムスとジュリアン・ムーア
忘れてはいけません!まずコナーのお母さん役に「ザ・マスター」や「アメリカン・ハッスル」のエイミー・アダムス。そしてエヴァンのお母さん役に「キッズ・オールライト」や「アリスのままで」 ジュリアン・ムーアというなんとも豪華なキャスト。
加えてゾーイ役のケイトリン・デヴァーはあの「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」でビーニー・フェルドスタインとともにガリ勉の女子高生コンビを演じた女優です。
なのでキャストが素晴らしく、映画全体が引き締まっているのもこの映画の魅力です!
まとめ
日本にいながらブロードウェイの大ヒットミュージカルをこうして映画として観ることができるのはとてもハッピーなこと!(日本語訳も付いているし!)
そして、ベン・プラットの高校生役(28歳で17歳の役)の違和感は、ビックフィッシュのユアン・マクレガー(31歳で18歳の役)ほどじゃなかったです(笑)。
ウィーーーーーー!(BYスタン・ハンセン)※映画とは無関係
コメント