日活ロマンポルノ 団地妻シリーズ2作目となる本作。1作目の「団地妻 昼下がりの情事(1971年)」は 連日立ち見が出るほど大人気だった作品。1作目に続き 白川和子主演、スタッフも1作目と同じく 監督西村昭五郎、脚本西田一夫、音楽奥沢散策。1972年公開作品。
あらすじ
あなたのためと言い聞かせながら、身を任せてしまった私なの 夜毎男の旨にくづれいく人妻の歓びを知ったこの肌が憎い!!「団地妻」シリーズコンビが描く人妻のショッキング・レポート!
【日活公式サイトの作品紹介ページより】
キャスト
役名 | キャスト | 説明 |
---|---|---|
香坂伸子 | 白川和子 | 団地で暮らす妻(主人公) |
香坂修一 | 濱口竜哉 | 伸子の夫(勤務先が倒産して自暴自棄になる) |
瀬沼昌二 | 浅香春彦 | 修一の学生時代の先輩 |
光村加代 | 葵三律子 | ライバル心を燃やす隣の奥さん(夫は海外赴任中) |
亜紀 | 岡エリコ | 修一いきつけのクラブのお目当てのホステス (カネで修一に抱かれる) |
大場友子 | 原田千枝子 | 隣人夫婦(妻)、伸子の話し相手 |
大場正幸 | 大泉隆二 | 隣人夫婦(夫) |
弘美 | 相川圭子 | 修一いきつけのクラブホステス(修一に抱かれる) |
見どころ
女王のあえぎ声
2010年の「ロマンポルノ・RETURNS」のインタビューで若い子に負けないと自負していた日活ロマンポルノの女王 白川和子の"あえぎ声"!ちょっと抑え気味の苦しそうにも聞こえるこの声に興奮させられること間違いなし。アメリカのポルノ女優のように大きい声(ちょっと低めの)も嫌いではないが日本人にはカルチャーショックだしエンタメ色が強すぎてリアリティに欠ける。やはり日本人なら白川和子に軍配を上げるはずだ!
白川和子について
白川和子(1947年9月30日長崎県佐世保市生まれ)は本作の翌年1973年に日活の社員であった小西俊夫と結婚し一度は引退 その後出産も経験。大阪千里ニュータウンで実際に団地生活をしていたこともあるらしい。(Wikipediaより)
そして1970年代後半には芸能活動を再開。以降 現在まで現役で女優業を続けている まさにレジェンドだ。最近では城定秀雄監督の「恋のいばら」や塩田昭彦監督の「春画先生」にも出演している。いずれも2023年公開作品だ。リスペクト!
以下に1970年代後半からの出演作品をほんの一部抜粋しただけでもこれだけの作品に出演している。
公開年 | 出演作品名 | 役名 | 監督 |
---|---|---|---|
1979年 | 復讐するは我にあり | 吉里幸子 | 今村昌平 |
1979年 | 十九歳の地図 | 安田久代 | 柳町光男 |
1981年 | ええじゃないか | ヤミクモ太夫 | 今村昌平 |
1989年 | 黒い雨 | 白旗の婆さん | 今村昌平 |
1990年 | バタアシ金魚 | ババア | 松岡錠司 |
1999年 | ワンダフルライフ | 天野信子 | 是枝裕和 |
2003年 | 幸福の鐘 | 相川マリ子 | SABU |
2004年 | 死に花(しにばな) | 鴨下光代 | 犬童一心 |
2013年 | 凶悪 | 牛場百合枝 | 白石和彌 |
2016年 | 少女 | 水森正代 | 三島有紀子 |
2023年 | 恋のいばら | トキ | 塩田昭彦 |
2023年 | 春画先生 | 本郷絹代 | 城定秀雄 |
昭和の風景
1972年公開作品ということで画面いっぱいに昭和の風景を堪能できる!
団地生活はステータス
今見ると逆に貧しくも見えてしまう団地の生活だが、当時は郊外の団地で暮らす生活をみんな夢見ていたらしい。なにせ多くの新婚夫婦は二世帯三世帯の同居か親と独立していても4畳半一間のゲキ狭のアパートで暮らしていたというから、ふたりで2DKの団地に引っ越すのは夢の話。だが好景気もあって人気の団地には応募が殺到し倍率100倍超えもあったという!なので本作の登場人物たちはそれを勝ち抜いた人々ってことになる。団地妻ってのはその夢を叶えた奥さまと言うことなんだよなー。
そして現代のように女性の社会進出など進んでいないから夫が会社で働き、奥さまは専業主婦ってのが当たり前の時代。夫の収入が全てなのでいかにいい会社に入り いいポジションに着くかが重要!
出世したらもちろんクルマ買うでしょ
所長に昇進してすぐに新車を購入する修一(倒産ですぐ処分することになるけど💦)。団地の前にクルマを停めてご満悦。出世→クルマを購入というわかりやすい流れ、クルマは出世のバロメータ!
それを窓から恨めしそうに眺める隣の奥さん。クルマのセールスマンは団地の各部屋を廻って熱心に営業し夫の留守中の奥さんと浮気。これが昭和の風景??
着物を着たホステス
修一が通う高級クラブでは着物姿のホステスが何人も働いている。着物姿っていまでもあるんだろうか?そんな場所に行くこともないのでわからないが昭和の匂いがしてよかった。
和装といえばこの映画では伸子の家で近所の夫婦を呼んで昇進祝いをするシーンがあるが、夫の修一は"波平さん"(サザエさんの父)のような格好をしている。自宅でくつろぐ時に和装という昭和感もいい。
それから、本作で登場するクラブのホステスがとにかく修一に簡単に抱かれすぎるのはどうなんだろう。チークダンスを踊りながら「今晩どうだい?」と修一が誘うと、あっさり「いいわよ❤️」と応じる弘美。おそらくこの作品を観て簡単にホステスを抱けると勘違いしてクラブに通った男たちが溢れたに違いない。
細眉女性
当時の最先端ファッションの女性は細い眉だったんだと想像する。白川和子の細眉にも注目!
昭和だから許された脚本
夫の勤務先が突然倒産した後、伸子は団地にとどまっていられず自ら仕事を探し広告のセールスレディーとして働き出すが、営業先の支配人からいやらしい目で見つめられ「わかってるだろ、ギブアンドテイクさ。いままでのセールスも皆言う通りにしたんだよ。」と言われ性行為を強要されてしまう!
そんなことがあっても夫に内緒で夫の職探しに奔走する伸子。修一の学生時代の先輩である瀬沼の家を訪れ夫の就職先の紹介をお願いする。(これがきっかけで伸子は瀬沼の魅力に惹かれてふたりの関係が始まってしまうんだけど・・・)
いっぽうの修一は勤務先の倒産で やけになり仕事も探さずに飲んだくれている。そんな中での修一と伸子の会話がコレ↓
修一:「明日からダンプの運転手でもなんでもやってやる!」
伸子:「あなたまたそんなこと言って。あせってくだらない仕事して一生台無しにしてほしくないの。お願いだからもっと自分を大切にして!」
性犯罪と職業差別!訴えられるわ!
まとめ
日活ロマンポルノの団地妻シリーズで昭和にタイムスリップ!レジェンド白川和子を堪能!
以上です。最後までご覧いただきありがとうございました。
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