【映画】【ココが見どころ】アバウト・タイム ~愛おしい時間について~

映画

ラブ・アクチュアリーのリチャード・カーティス監督・脚本の2014年公開作品。この作品で監督引退を表明しているカーティス監督の想いがいっぱいに詰まったラスト監督作。

あらすじ

舞台はイングランド南西端コーンウォール、主人公のティム(ドーナル・グリーソン)は、21歳の誕生日に父親(ビル・ナイ)から「我が家に生まれた男たちはタイムトラベル能力を持っている」と告げられる。彼女のいないティムは、さっそくタイムトラベルを使って意中の女性にアタックするが・・・。

見どころ(うっすらネタバレ)

1.ほのぼのタイムトラベル映画

タイムトラベルの映画というとその能力やタイムマシーンにスポットがあたって派手なタイムトラベル演出があり、そして主人公の行動といえば時代を変えるために人を殺めようとしたり、スポーツ年鑑を手に入れて大金を得ようとしたりと大きな欲望を抱いてタイムトラベルを駆使することが多いと思います。

しかし!

タイムトラベルの方法は"暗闇で目を閉じて念じる"だけという地味さ。そして、父親からタイムトラベルの能力を持っていることを告げられたティムは、父さんにその能力を何に使ったのかと問います。

父はうれしそうに答えます。 "読書"だと。

え!

ど、ど、どくしょーー!!!

この映画には、タイムトラベルは自分の人生の範囲(生きてきた中)でしか遡る(さかのぼる)ことができないという設定はあるものの、、それにしても 読書て。

タイムトラベルが使える人間がその能力を使って読書しますか?!普通はやはりなんといっても"お金"に走りますよね。そうです。ティムも初めはお金が欲しいと言い出しますが、そこで即座に父親が釘を刺します。おじいちゃんは金に走って愛と友情を失ったんだ、幸せな金持ちなんかいないんだと。うん、深い。。。

考えたティムはそれならば「彼女がほしい」と言い、父も「Massive(すばらしい)」と言ってティムの意見を受け入れます。そうしてタイムトラベルを使ってみることになります。相手は妹の友達シャーロット(マーゴット・ロビー)!。おーい!いきなり高めーー!そして、もちろん失敗します(笑)!そしてタイムトラベルで愛は手に入らないことを思い知ります。

そもそもこの映画、タイムトラベルにスポットをあてた映画ではないんです。ただ彼女がほしい、妹を救いたいといった身近なことにその能力を使います。

リチャード・カーティス監督が、インタビューの中でこの映画のメッセージは『毎日、普通の生活を送ることが一番の幸せ』だと言っています。

そういうことなんです。ゆえにタイムトラベルというSFなのにほのぼのしているんです!

2.魅力的キャラクターたち

(1)おどおどした主人公ティム(ドーナル・グリーソン)

主人公のティムは決して女性にモテるタイプでなく、いつもちょっとおどおどしています。当然パーティーは大の苦手。毎年開催されるニューイヤーズ・イブのパーティーをとても恐れています。

冒頭のシーンで、その年のパーティーでカウントダウン間近に飲み物が置いてあるテーブルをガチャーン!と派手にひっくり返してハッピームードをぶち壊し、

さらに年が明けた瞬間(イギリスでは周囲の人にキスをしてハッピーに年を迎える習慣があるようです)、周りの男女がキスをする中でティムは隣にいたちょっとイケてない女のコにキスするのを躊躇し握手でゴマかし、アンハッピーな年明けとなってしまいその子をひどくがっかりさせてしまいます。(そして翌朝、悪夢を見たかのように情けない気持ちいっぱいで目を覚ますのでした)

この地味で控えめなおどおどキャラクター設定がすごく効いています。そしてドーナル・グリーソンがそれを見事に演じています。ググってみたら身長185cm!え、背高っ!この映画ではむしろ小柄に見えるくらいの印象を持つと思います。が、実際の彼はきっとモテるんだろうと思います。ハリー・ポッターやスターウォーズといった作品にも出演しているのでいろんな役柄をこなせる役者なんですよね。

このキャラ設定があることで、彼女を作る(というよりも一度出会った彼女を取り戻す)ために何度も使うタイムトラベルも許せてしまいますし、ちょっと"のび太くん"的なキャラクターが観ている人の共感を呼びます。

(2)理想の彼女メアリー(レイチェル・マクアダムス)

とにかく、可愛すぎる理想の彼女。登場シーンの切りすぎた前髪という髪型にもやられますが、なんといっても唯一無二のこの笑顔!!しかもHは大胆でサービス精神旺盛というパーフェクトさ。(男目線、すいません)

もう、ほかには なにも いりません。はい。

(3)父親(ビル・ナイ)とデズモント叔父さん(リチャード・コーデリー)

まずは、主人公の父親役のビル・ナイ、もう最高ですねー。ラブ・アクチュアリーなどリチャード・カーティス監督の映画には何度も出演している役者ですが、この映画でも愛情深い親子の関係を見事に演じています。

そしてデズモント叔父さん役のリチャード・コーデリー。母親の兄弟という設定ですが主人公ティムの家族と一緒に暮らしています。このとぼけた叔父さんが同居していることで単なる親子関係だけではない家族の物語としての広がりが生まれます。

そしてこの叔父さんは自宅にいる時もイギリスの伝統的なスタイル"スリーピース"(スーツの下にベスト)でキメていて、母親もファッションアイコンがエリザベス女王だったと冒頭でティムが紹介しているとおり、母方はイギリスの伝統的なファッションをこよなく愛して大事にしている。一方で父親とティムはだいぶ崩していて特にティムはちょっとダサいカッコをしているので、どこかにメッセージとして伝統を忘れてならないというものがあるんだと思います。そして叔父さんはそれを体現してくれている象徴的な存在となって描かれています。

とにかく、この二人のオジサンがすごくチャーミングで魅力的なんです!

3.大雨の結婚式

このシーンが大好きな人がたくさんいると思います!

ティムとメアリーの結婚式当日に大雨どころか大風の暴風雨に見舞われてしまいます。めでたい日に雨だけでもうんざりするところですが、このシーンでは式に集まった人々がむしろそれを楽しんでいて、笑顔もいっぱいある。このハッピーさ加減、最高ですネ。バックに流れるイタリアの歌手ジミー・フォンタナの"イル・モンド"がまたイイですね。そして美しい。

まとめ

派手さは無いですが、全編通じていい音楽と美しい映像が楽しめます。タイムトラベルというSF要素があるのに、観たあとにじんわりと心に沁みる映画です。

よし、今日も精一杯 生きて、すばらしい日々をかみしめよう。

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