「RENT レント」を生んだ劇作家ジョナサン・ラーソンの自伝ミュージカルの映画化作品。リン=マニュエル・ミランダの長編映画初監督作。スティーヴン・レヴェンソン脚本。2021年公開作品。
あらすじ
舞台は1990年のニューヨーク。ダイナーのウェイターとして働きながらミュージカル劇作家として成功を夢見るジョナサン。ともにエンタメ界での成功を夢を見てきた仲間たちは地に足を付けた別の仕事に就き、もうすぐ30歳の誕生日を目前に控え、日の目を見ることができない自分に焦るジョナサン。
時間が無い!チック、チック。。。
見どころ
35歳の若さで亡くなったミュージカル劇作家ジョナサン・ラーソンが「RENT レント」で脚光を浴びる前、ミュージカルでブロードウェイを目指す苦しみと諦めない信念が描かれます。
登場する楽曲すべてが素晴らしいです!個人的には自宅のパーティーで歌う「Boho Days」が好きです。全員でめちゃくちゃ盛り上がっていて、最高です。
(1)生み出す苦しみ
創作の苦しみが みごとに描かれてます。
この物語は、小説「1984年」をベースにしたミュージカル「Superbia」を8年がかりで作り上げ、試聴会でお披露目するまでを本人が振り返るというお話です。
そもそもベースにした「1984年」というのはイギリスの作家ジョージ・オーウェルによって1949年に発行された小説で、情報統制された監視社会という未来を描いたSF!ミュージカルにSFですよ!やはり天才と呼ばれる人は発想が常人と違いますね。
ジョナサンは30歳の誕生日が目前に迫り、ポール・マッカートニーはビートルズで最後の曲をジョンと書いていた歳、それなのに自分は何も成し遂げていないと焦る。チック、チック、
恋人スーザン(アレクサンドラ・シップ)はダンサーの夢を諦めニューヨークを離れダンス講師としての職に就こうとしている。役者を目指していた親友のマイケル(ロビン・デ・ヘスス)は大手広告代理店に勤務し高級マンションに引っ越し生活を始めた。
それぞれエンターテインメントとは別の地に足がついた仕事に進んでいく中、いまだ日の目をみない自分。そして「Superbia」のメイン楽曲が全くできていない。試聴会まであと数日。時間が無い。それでも生活のためにはアルバイトに行かないと。。
焦る。焦る。チック、チック。。。
究極に追い詰められる中での創作、その中で突然の事件が!
どうするジョナサン!そんな中どうやって曲が生まれたのか?それは。。。
(2)支えと信念
追い詰められた中、創作活動を続けられたのは、
スティーヴン・ソンドハイム
ジョナサンが尊敬する人物として"ブロードウェイの伝説"あのウエスト・サイド・ストーリーの詩を書いたスティーヴン・ソンドハイム(ブラッドリー・ウィットフォード)が登場します。彼がジョナサンにかけた言葉やサポートがあったことで続けることができたと映画の中でも語っていますが、彼もまた革命的なミュージカルを世に出した人物。
そしてジョナサン・ラーソンの作品によって劇作家を目指すことを決めたリン=マニュエル・ミランダ(大ヒットミュージカル「イン・ザ・ハイツ」「ハミルトン」などの原作者)がこの映画の監督という このソンドハイム→ラーソン→ミランダのいうマイノリティを描いた革命児のつながりというのは運命的!もしこの映画をラーソンが天国で観ていたら喜んで拍手を送っていると思います。👏
親友マイケル
幼なじみで親友のマイケル(ロビン・デ・ヘスス)。大学1年生の時にゲイであることを告白した彼はジョナサンとともに夢を抱いてニューヨークにやってきました。
その後、自分には才能がないと役者をあきらめ広告代理店の仕事に就きます。
夢をあきらめた彼なのですが、その後もずーっとジョナサンの才能を信じて励まし続けます。魅力的ですごくよかった!マイケル(ロビン・デ・ヘスス)を観てほしい!
とってもキュート!
(3)主演アンドリュー・ガーフィールド
言うまでも無くジョナサン・ラーソンを演じた主演のアンドリュー・ガーフィールドはすごかった。歌唱を含めてすごい才能を観ることができます。第94回アカデミーで主演男優賞にノミネートも納得。
(4)ほかにも
大ヒットブロードウェイミュージカル「ディア・エヴァン・ハンセン」を書き下ろしたスティーブン・レヴェンソンが脚本。2017年トニー賞ミュージカル脚本賞受賞している人物。前述のミランダ監督含めミュージカル界のスターが集結して作り上げた作品というのも観る価値あり。
まとめ
「RENT レント」の作曲家ジョナサン・ラーソンの生み出す苦しみが、素晴らしい楽曲に乗せて描かれとても楽しめるエンタメ作品になっています。この作品で第94回アカデミーで主演男優賞にノミネートされたアンドリュー・ガーフィールドの才能あふれる熱演が堪能できます!
わたしの年齢(オーバー50)でもすごく楽しめた作品なので若い方はもちろん楽しめると思います!「RENT レント」も併せて観るのをおすすめします!(レントの感想はこちら)
そして、入社してからずーと同じ会社に勤めるわたし(まさに鳥かごの鳥)の役職定年の日は近づいてきている。チック、チック。。。
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