「夜は短し歩けよ乙女」の森見登美彦の日本SF大賞を受賞した小説をアニメーション映画化した作品。監督:石田祐康。(2018年公開)
あらすじ
ある日、ポツリポツリと街にペンギンが現れます(実はSFなんです)。驚いた小学4年生の主人公アオヤマ君はなぜ街に突然ペンギンが現れたのか調査する中で、ペンギンたちが海から陸に上がるときにきまって辿るルート、そのルートのことを"ペンギン・ハイウェイ"と呼ぶということを辞書から知ります。
そしてノートの表紙に"ペンギン・ハイウェイ"とタイトルを書いて、いざ研究を開始します。しかし研究の先には切ない結末が。。。
見どころ
冒頭から爽やかにエロく始まります。主人公アオヤマ君のほおの赤さ、きっちりと"おっぱい"の研究をしているノート。ノート表紙のタイトルは「お姉さん」、サブタイトルは「おっぱいの幾何学的考察」。象徴的に主人公の小学4年生アオヤマくんの髪の毛がピーンとします。
そして、主人公アオヤマ君(声:北香那)は全編を通じて独特の言い回しで自分の気持ちを淡々と語っていきます。では、わたしが思うこの映画の見どころを3つ挙げます。
1.映像の美しさ
正直、わたしは映像の美しさで泣かされました。特に後半!なんだこれはって感じで圧倒されます。本作のポスター映像からもある程度わかりますが、アニメーションになることでさらに表現力が倍増します。エロの要素が入っているのに全体的にとても爽やかにまとまっています。
2.歯科医院のお姉さん(声:蒼井優)
冒頭で出てくる研究ノート。主人公のアオヤマ君が研究しているのはこの歯科医院のお姉さんのおっぱいです。少年にとって大人で憧れのお姉さんはすこしやせているのに大きいおっぱいをしている、そしてボーイッシュな口調を蒼井優が演じるという誰もが惹かれてしまう理想のお姉さん。
それはそれはとてもとても魅力的に描かれます。是非観てほしい。
3.少年の成長
小学4年生の主人公が信じられない現実と向き合い、それを受け入れ、消化して少年は成長。そのひとかわムケて大人になっていく姿に感動。
勝手に解釈(ネタバレあり、ちょっと深掘り)
この映画、よくわからんという感想だったり、女性の描写が不愉快という感想だったり、観た人の評価が分かれているようです。なぜこの映画で少年が大人の女性に恋をすることを表現するのにしきりに"おっぱい"を推してくるのか。エロさを出してくる理由について考えました。
ここから先は勝手な解釈です。ネタバレもありますのでこれから観る方は注意!
↓ここから先ネタバレが含まれます↓
この映画で登場するペンギンと謎の球体"海"は男と女、いや、精子と卵子のメタファーなんだと解釈しました。
てことは"ペンギン・ハイウェイ"はつまり"産道"ってこと。ラストシーンでお姉さんが「突っ込むよー!」といって大量のペンギンとともに海に突入するシーンは象徴的。
そして突入後の少年とお姉さんのシーンは、"コトが終わった後感"を感じるのはわたしだけでしょうか。こうして観るとこのアニメ、めちゃくちゃ大人のアニメじゃん!冒頭からのエロい感じも納得する。だから必然的にお姉さんのおっぱいを大きくする必要があったんだ。
→ R18指定決定!
いやちょっと待って。
違う違う。セックスレスや少子化問題の提起なのか、そこまではわかりませんがこの映画のほんとうに伝えたかったことは、精子と卵子の結合によって生命が誕生する奇跡、そしてそのさらにその先にある、
出会えたことの奇跡ということを表現したかったではないでしょうか。
つまり少年がお姉さんと出会ったことは奇跡的なことで、そしてそのお姉さんとお別れするというひと夏の貴重な経験を通じて大人になった。少年の成長の描き方にはいろんな表現がありますがこう観るとこの映画、スッキリしますよね。(ちょっと強引ですかね)
以上です。最後までご覧いただきありがとうございました!
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